大判例

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高松高等裁判所 昭和24年(ラ)26号 決定

一、当事者

抗告人 甲野義子

相手方 乙野花子

二、主  文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

三、理  由

本件抗告理由の要旨は、本件調停調書によれば、第一項に「乙野花子は昭和二十四年九月二十六日までに金弐万円を申立人甲野義子および利害関係人甲野松子に亡父乙野太郎遺産分割として讓渡すること」と記載せられているが、右調停委員会においては抗告人らの亡父乙野太郎の遺産物件として香川県塩之江村大字安原上西谷千八百十二番の二、畑一反二畝十歩外四筆、宅地百七十五坪この解放価格九百二十円、同所二千六百八十番の三、山林二町四反六畝十九歩、同所二千六百八十番の八、山林六反五畝歩此の底土の価格金三万一千円と評価し、右二筆の山林に生立せる立木を六万円で売却し、なお家屋一棟を金壱万五千円と評価し、右総計拾万六千九百二十円を分割することとし、家事審判官の指示に基き姉妹三人(抗告人甲野義子相手方乙野花子および利害関係人甲野松子)に対し各金弐万円あて、母(亡乙野太郎の妻)甲野梅子に対し金四万円を夫々分与することに調停成立したものである。然るに調停委員の策動により前記の如くことさら虚僞の調書を作成したものである。故に前記調停調書第一項を

「乙野花子は昭和二十四年九月二十六日までに金弐万円あてを申立人甲野義子および利害関係人甲野松子に亡父乙野太郎の遺産分割として譲渡すること

乙野花子は甲野梅子に昭和二十四年九月二十六日までに金四万円を亡夫乙野太郎の遺産分割として譲渡すること」

と更正されたくその申立に及んだところ原裁判所は漫然その理由なきものとして右申立を却下したのは不当も甚しい。

よつて原決定を取消し抗告人申立のとおり前記調停調書の更正を求める次第であるというにある。

案ずるに家事審判法第二十一条によれば、家事調停に関する調書の記載は確定判決と同一の効力を有し、同法第九条第一項に掲げる事項については、確定した審判と同一の効力を有すると規定されているから、右第九条第一項乙類に掲げるもの以外に関する家事調停調書の記載については、民事訴訟法第百九十四条の規定を準用して違算、書損その他之に類する明白な誤謬があるときは、家庭裁判所はその更正決定をなし得べきことは疑のないところであるから、右第九条第一項乙類に掲げる事項に関する調停についても右民事訴訟法の法条を類推してその調書の記載に明白な誤謬があるときは、家庭裁判所は、その更正決定をなし得るものと解すべきである。そして本件家事調停は、家事審判法第九条第一項乙類に掲げる事項についてなされたものであるが、右に説明するところにより、その調書の記載に明白な誤謬があれば、家庭裁判所はその更正決定をすることができるものと解すべきであるけれども、本件調停調書の記載に抗告人主張の如き誤謬のあることは、一件記録によるもこれを認めることができない。よつて本件抗告は理由なきものと認め家事審判法第七条、非訟事件手続法第二十五条、民事訴訟法第四百十四条、第三百八十四条、第八十九条により主文のとおり決定する。

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